富士山の恵み 吉田のうどんについて
ウマさのひみつ(薬味、具)
次なる「吉田のうどん」のスペシャルな特徴は、こちらもそれぞれの店が工夫を凝らして作った、手作りの「薬味」と、うどんの上にトッピングする「具」です。
一般的に「うどんの薬味」といえば、ねぎやしょうがなどの香味野菜、それに粉末の一味、または、七味唐辛子をぱらりと振り掛けます。
吉田のうどんでもねぎを乗せるのは一般的ですが、「唐辛子」に関しては粉末のものに一工夫、二工夫加えます。
どんなものかと言いますと、ベースとなる粉末の乾燥唐辛子に、ラー油、ごま油などの油分を加え、黒ゴマ、または白ゴマを粒のまま、あるいはすりおろして加えます。さらにサンショウ粉、ショウガ、季節によってはフキノトウのみじん切りなどの香味山菜を加え、よく練り合わせます。
こちら、店によってかなり作り方が違っているし、気になるレシピは門外不出の「店内秘」となっているところが多いので、味も本当にそれぞれ個性豊かで、麺、つゆはもちろん、この薬味のおいしさも、地元の人々の支持を得るための重要な一要素となっています。
トッピングとなる「具」は、一番シンプルな「かけうどん」を注文したときに乗せてあるのが「ベースの具」で、お好みにより、「野菜のかきあげ」「ちくわのてんぷら」「肉」「わかめ」「きのこ」などを追加でトッピングしてもらいます。
この辺は他の地方のうどん店も変わりないと思います。
違いは「ベースの具」。なんと、吉田のうどんのベースの具には必ず、「ゆでキャベツ」が乗せられます。これも「えっ!うどんにキャベツ?」と思ってしまうであろう、大変意外な具だと思います。
一体なぜ、多種ある野菜の中からわざわざキャベツを選りすぐって乗せるのか、これもこの地方の環境や気候に起因するものです。
通年を通して気温の低いこの富士五湖地方では、甲府盆地を中心とする温暖な県内国中地方で収穫量の多い、もも、ぶどうなどの果物はもちろん、なすやトマトなどの夏野菜も大変収穫量、収穫期間が短く、変わりに農業作物生産の中心となっているのが、葉物の高原野菜です。
キャベツはその代表作物で、気候の厳しい場所で収穫すればするほど、食べたときの野菜自体の強いしっかりとした味、甘さとやわらかさが得られるということです。
そんな極上キャベツをたっぷりのお湯でゆで、細かく刻んでうどんの上にトッピングしてあるのです。
決して「貧しい食べ方」なんて思わないで下さい。これこそ、究極のヘルシーグルメ。大地の恵みをいっぱい、どんぶりに盛り込んだ贅沢な食べ物、それが「吉田のうどん」なのです。
知られざる、そのメニュー
それではお待たせいたしました。市内近郊100店舗近くもあると言われる吉田のうどん店のレギュラーメニューと一般的なお値段をご紹介いたします。
まず、メニューは大枠で「温かいうどん」と「冷たいうどん」に分かれているのですが、最初に「温かいうどん」からご説明します。
温かいうどんを注文すれば、間違いなく前にご紹介した「しょうゆ味噌割のつゆ」をなみなみとどんぶりに注いでくれるでしょう。麺は生めんをゆで上げた後、一度冷水で洗って締めたものを、再度釜で温めた、アツアツのものが使われます。
「冷たいうどん」はといいますと、夏でも手を浸し続けるのは難しいほどの冷水でキュッと閉めた、大変歯ごたえのある麺を皿に盛ってくれるでしょう。冷やしうどん用のつゆの味付けはその店によりいろいろ差があり、味噌を使わないでしょうゆだけでさっぱりと味を付けたものの場合もあります。
ここで気をつけたいのが、冷たいうどんの場合、「冷やしうどん」と「つけうどん」の2種類のメニューが用意されているところが多いです。
「冷やしうどん」は冷たい麺に冷たいつゆをかけて食べる、ごく一般的な食べ方ですが、「つけうどん」は麺とつゆは別皿に用意され、麺は冷やしうどんと同じですが、つゆは温かい味噌しょうゆの割りのもの、つまり「温かいうどん」と同じものが出され、「冷たい麺」を「温かいつゆ」につけながら食べる場合が多いです。
さらにこの地方の「ご当地メニュー」とでも言いましょうか、「温かいうどん」メニューの中に、「ぶっかけうどん」「湯もり」というのがあります。2者は呼び方が違いますが、同じメニューです。
こちら、つゆはつきません。麺と薬味だけがテーブルに出されます。
アツアツに温めた麺の上に直接、通常の2倍ぐらいの量の薬味、ねぎやショウガ、カツオブシ等をのせ、しょうゆだけをかけて食べる素朴な味わい方です。「麺のおいしさを十分に味わいたい」と、通な食べ方をご希望の方にはお勧めのメニューです。
こちら、この地方で昔から伝わる独特な食べ方で、地元民のファンが大変多いです。
トッピングは先ほど紹介したお店自慢の練り唐辛子の薬味はもちろん、それぞれのテーブルに用意されていて、お好みの量使うことができます。また、「揚げ玉」(てんぷらの揚げかす)も無料サービスの場合が多く、大量に入った容器が各テーブルに用意されていて、自分のお好きな量だけトッピングすることができます。
サクサクの「野菜のかき揚げ」「ちくわのてんぷら」や、牛肉を甘辛く煮込んだ、「肉」、「きのこ」「わかめ」「たまご」「きんぴらごぼう」なども追加の具として用意されていることが多いですが、こちら、それぞれに追加料金が必要で、ベースとなる「かけうどん」に料金をプラスする形でオーダーできます。
さて、気になるお値段ですが、おおよその店で基本料金とされる、つまり、一番安いのは「ゆもりうどん」「かけうどん」なのですが、こちら、250円が最低料金、最高でも350円、それ以上となると「高いなぁ」という印象を与えるのが町のうどん屋相場です。
トッピングは一種類大体80円?150円ぐらいで、一杯のうどんに複数のトッピングも可能です。
「大盛り」を注文する場合は、並盛りの料金に100円程度の加算料金がかかりますが、大盛りのうどんに何か1種類のトッピングをしてもらう、または、並盛りのうどんに2種類ぐらいのトッピングをしてもらう程度ではまず、並の値段の店では500円を超えることは殆どありません。
この究極のワンコインランチを100店舗近く抱える富士吉田市内にある、他の飲食店たちはいかにこのうどんに対抗するリーズナブルでボリュームあるメニューを考え出すかが、事業成功へのカギといわれているほどです。
ここ近年、不景気が募り、マクドナルドでハンバーガーとコーヒーだけの食事で昼食を済ますお父さんの話題がテレビで報道されていますが、多数の「吉田のうどん店」を抱えるこの地域ではお父さんの選択店舗、メニューも大変多く、ランチタイムが潤います。
市民のエンジョイ法
富士吉田市近隣の市町村民は老若男女、すべての人々がみんな、郷土の誇り「吉田のうどん」が大好き。
ランチタイムになると急いで人気店の行列に紛れ込むもの、隠れ家的なうどん屋を見つけ優越感に浸る者、それぞれの楽しみを持って日常的にうどんを楽しんでいます。
そんな中でも「ご当地ならでは」の楽しみ方は「うどんラリー」でしょう。特に口コミなどにより店舗やその味の情報を仕入れ、お気に入りの味を探し当てるまで楽しみながら「はしご」して歩くことです。
深くハマる人の中では「全店制覇」を目指し、各店の所在地や営業時間、休業日、詳しい味の評価や特徴を、また、店の座席数や駐車スペースのことについてまでも、驚くほど詳しく記載するHPなどを公開している人もいます。
最近になって他県から訪問する人々が増加した背景には、このようにインターネットで簡単に情報をゲットできるようになったこともあります。
吉田のうどんが活躍する場は「うどん店」だけではありません。
全国的に見ても大変珍しいことなのですが、この地方では結婚披露宴をはじめとする、大小宴会、催事でのお食事の締めとして、うどんが出されるケースがかなり多いのです。
これは会場のクラスには関係なく、極端な例では、町外れにある全国的に名の通った超一流ホテルでの結婚披露宴コース料理でも締めとしてうどんが出されます。盛大な宴会でお酒を飲んでほろ酔い加減のときに出される一杯は大変好評で、昔からコースメニューには必須だそうです。
こちら、披露宴ばかりでなく、いかなる催事の場面にうどんが登場しても、「こんな場で常識外れ」と思われてしまうような失礼なことに当たらず、お酒が入る場などで胃にやさしく、ほっとさせてくれるうどんは歓迎されています。
ふるさとの味、「吉田のうどん」は市民の誰にとっても一番大好きな「おふくろの味」なのでしょうね。
うどんの輪を広げよう!
全国的に有名なご当地グルメ「宇都宮のギョウザ」「富士宮のやきそば」などと比較すると、「吉田のうどん」はまだかなり知名度が低く、例えば、近郊の高速道路のサービスエリアで売り出す、他県にある各有名デパートの食品売り場の催事場で売り出すというような大体的な行動には出ていないようです。
それだけに、ご当地に足を運ぶことに意味のある、大変貴重な食べ物ということですが、できるだけたくさんのうどんファンに味を見てもらいたいというのが、ご当地の本音でしょう。
知名度を上げるために、遠方から訪問下さる方々に「お土産」として持ち帰って頂き、周囲の人々に試食して頂くというのは、宣伝費不要なうえ、何よりも説得力のあるよい方法です。
いくつかのお店のカウンターでは「お持ち帰り用」の小袋を用意し、販売しているところもあります。それは、お店と全く同じものが食べられないにしても、せめてこの自慢の「麺」だけでもご家庭で楽しんで頂こうという考えに基づくサービスです。
ですが、これだけでは自分がすでに味わったお店でしか購入することができないということになります。
このこと、ごく簡単な解決策があるのです。誰でもいろいろな製麺所で作られている、それぞれの特徴を持った麺をお土産として持ち帰ることができます。
どうするのかといいますと、富士吉田市内には大変大型のスーパーマーケットがいくつもあります。その中には地元のスーパーばかりでなく、「イーオン」のように、全国チェーンのスーパーもあります。そのいずれでも構いません。とにかくスーパーマーケットに入り、麺類売り場に直行してみてください。
すると、他県にある大手製麺メーカーにより配送された麺と同じ品数の、吉田のうどんが販売されています。
これを初めて見つけたとき、全国チェーンスーパーでも当地ものを意識して仕入れを行うのかと感心してしまいましたが、とにかく、なかなか種類豊富でバラエティーに富んでいます。
店頭の麺には既に茹でて袋詰めにしてあり、ご家庭では温めるだけでお手軽の「ゆで麺」、茹でたてのコシの強さが味わえる「生麺」の両方が並べられています。
自分でもよく購入し、家庭で試してみるのですが、中には老舗の有名店の麺、また、これまで知らなかったお店の麺なども販売されている場合があり、吉田のうどんの最大の特徴、あのゴツゴツした食感も十分に楽しめます。
こちら、そのスーパーにより、それぞれ仕入先が違うようです。ですから、訪問者の方々は地元の人々のように「ご当地うどんラリー」は無理としても、お土産に複数のメーカーの麺を持ち帰り、ぜひ、ご自宅でも「吉田のうどん食べ比べ」を楽しんでみてください。
もちろん、お友達、ご家族へのお土産の場合は、吉田のうどんのおいしさをじっくり語ってあげてください。うどんの輪をどんどん広げるために、おいしく、たのしくご協力願います。
店の場所の探し方
ここで少々、特に他県から訪れる方々のために、簡単なお店の探し方をお教えします。
出発事前にインターネットなどで情報を仕入れておけば、それが手っ取り早く自分の希望の店を訪れるため一番安全で確実な方法です。
しかし、現地で直接探す場合、中央高速道路河口湖インターや、東名高速御殿場インター方面(東富士五湖有料道路)から町に入ってくると必然的に通る町のメインストリート、国道138号線沿いの分かり易い場所には老舗や人気店などは一店舗もありません。
これらのお店に行くためには地元の人しか知らないような少々奥まった路地などを通過しないとたど着けないのです。特に看板ものれんもない「民家の座敷型」のお店に行き着くのはとても難しいでしょう。
そんなとき頼りになるのが、町のインフォメーションが一度に手に入る「道の駅」です。
なんと、ここには「富士吉田うどんマップ」なるスグレモノの案内書が、現地情報に薄い訪問者のために無料で用意されています。
「富士吉田うどんマップ」は、吉田のうどんがご当地グルメとして、町おこしの材料としてのアピールを強めてくれるよう、市の広報部が訪問者のために用意している大変親切なサービス広告です。
こちら、両面カラー刷りで、表面はお店の名称と所在地をマークした市内地図。裏面にはお店ごとの所在地や住所、電話番号のみならず、市のリサーチ隊が評価するその店の味の特徴などが詳しく記載されています。
ここまでの情報を仕入れれば、例えカーナビがなくても、どんなお店にもたどり着くことができます。
「道の駅富士吉田」は中央、東名両高速とも、インターを降りて、国道138号線を直進していれば途中にあります。標識も出ているので大変分かりやすいです。
このほかに「うどんマップ」を入手できる場所は、市内近郊町村の鉄道駅やバスのターミナルにある観光案内所等にも置かれています。情報はかなり正確ですので、ぜひ、利用してみてください。
こういった市の努力もあり、最近では週末に人気店の駐車場などを覗くと、遠方からやって来た他県ナンバーの車が殆どで、今後、よしだのうどんのご当地グルメとしての名声はどんどん高まっていく気配が感じられます。
さらに知名度を高めるために、例えば、応募者には抽選で景品が当たる「よしだのうどん、あなたが決める名店コンテスト」などを企画して、さらに県内外の人々の興味や足を誘い、お店側もその味やサービスを切磋琢磨するというようなイベントもよいかもしれません。
人々のふれあいや地元の発展を大切にした、他のご当地グルメによる町おこしにはない斬新なアイデアをどんどん取り入れ、いつまでも多くの人々に心から愛される「吉田のうどん」であり続けて欲しいものです。